『舟を編む × 辞書出版社11社タイアップ』第七回「明鏡国語辞典 」プレゼント企画に寄せ、 大修館様より寄稿を頂きました
タイトル:言葉を映す、明るい鏡
めい‐きょう【明鏡】曇りのない、澄みきった鏡。(『明鏡国語辞典 第二版』より)
『明鏡』――これが、私たちの国語辞典の名前です。『舟を編む』の『大渡海』が「言葉の海を渡る舟」ならば、
『明鏡』は「言葉の姿を映す鏡」。いま、この時代に、どんな言葉がどのように使われているのかを、
鏡のようにくっきりと映し出す辞典にしたい。そんな願いが、この『明鏡』という書名に込められています。
『明鏡国語辞典』は、2002年12月に初版が刊行された、非常に「若い」国語辞典です。
伝統も定評もある、すぐれた国語辞典がいくつもあるなか、新たな国語辞典を世に送り出し、
多くの人に使ってもらうためには、ほかにはない特色をもった革命的な辞典を作る必要がありました。
「新しい辞典を作るにあたっては、セールスポイントが少なくとも10はなくてはならない」
「辞書を引くとはどういうことか、辞書を引くのはどんな人かという点から考えていきたい」
第1回目の編集会議の議事録からは、編者の北原保雄先生や編集委員の先生方、そして編集部の並々ならぬ熱意と、これから作る辞典への大きな期待が伝わってきます。
刊行までに開かれた編集会議はなんと、100回以上。よりわかりやすく、使いやすい国語辞典を作りたいという信念のもと、収録する言葉の選定から解説の方針、辞典本文の文字の大きさまで、さまざまなことが議論されました。
犬の鳴き声についての解説は「ワンワンと鳴く。」とするか「鳴き声はワンワン。」とするか。
「飽きっぽい」などの「(っ)ぽい」は「ぽい」「っぽい」、どちらの項目で解説するのがよいか――
辞書の編集会議でもなければ気にも留めないようなことで、議論が大いに盛り上がることはしばしば。
漢字辞典代わりに漢字の意味や形を調べられるようにと考案された、一字漢字項目の検討ひとつに、何年もの年月をかけたこともありました。
今や『明鏡』の大きな特色となっている、言葉の使い方の解説や充実した誤用情報も、この編集会議で生まれ、磨き上げられていったのです。
こうして完成した『明鏡』は、これまでにない新しい個性をもった国語辞典となりました。
ありがたいことにこの『明鏡』らしさを気に入ってくださる方も多く、刊行の翌年にはハンディなサイズの「携帯版」が登場、そして2010年には第二版が刊行されました。
第二版では、国語辞典として初めて別冊索引を付録につけ、誤用情報や気になる言葉からも辞書を引けるようにするなど、その個性を活かしてさらなるパワーアップを図りました。
『明鏡』も、もうすぐ14歳。現代の日本語を映し続けていくために、『明鏡』はこれからも進化していきます。