『舟を編む × 辞書出版社11社タイアップ』第九回『新レインボー小学国語辞典 改訂第5版 オールカラー版』プレゼント企画に寄せ、学研辞書編集部より寄稿を頂きました

舟を編む

タイトル:不可能を可能に! 類書初のオールカラー辞書、誕生秘話

業界に革命を起こす商品、技術というものがあります。
たとえば、携帯電話にカメラが付いた、ボールペンのインクが消せるようになった、などです。

小学生向けの国語辞典の業界でも、革命を起こしたものがあります。
それが『新レインボー小学国語辞典 改訂第5版(オールカラー)』です。

一体なにが革命なのか......?
答えは......、「オールカラー」にしたこと。

なーんだ、そんなことか、と思ったかもしれません。
でも、辞書にとっては大変なできごとなのです。


辞書を使う人は、辞書にどんな価値を求めているのか。
小学生向け辞書の改訂にあたり、編集部では企画会議を重ねました。
小学生が辞書を引いている姿を実際に観察して、行動を分析したり、
読者ハガキや電話での質問、クレームから不満や不足を感じ取ったり。

そして、「オールカラー」の辞書をつくろう!と結論を出しました。
小学生が触れている学習教材は、教科書も、テストも、参考書も、オールカラーのものばかり。
それなのになぜ、辞書だけは赤と黒の2色印刷なのか。

オールカラーの方が読みやすいし、楽しく使ってもらえるはず。
絶対オールカラーの方がいい!

このとき私たちは誰ひとり気づいていませんでした。
とてつもなく大変なことを始めてしまったことに......。


「オールカラーの辞書をつくりたい」と凸版印刷に相談したとき、最初の答えは「無理です」でした。

オールカラーにするということは、1ページを印刷するのに少なくとも4回は印刷機にかけるということです。
黒、赤、青、黄の4色を使ってオールカラーにしていくからです。

辞書のような小さい字で、辞書のような薄い紙を4回も印刷機にかけるとどうなるか?
印刷がずれてしまったり、紙がよれてしまったり、普通の本では起きないような問題が発生しました。

「オールカラーにできる紙はないのか」「紙がよれない印刷方法はないか」、凸版印刷とともに、一つひとつ課題をクリアしていきました。

また、紙面デザインに関しても、安易にツメに色をつけたり、イラストに色をつけたりするだけでは効果がないと考えました。
それで、たとえば小さなロゴマークの色についても、見つけやすいか、見やすいか、
デザイナーと試行錯誤を重ねて最終的なデザインにたどりつきました。


オールカラーの辞書をつくろう!と結論が出てから、編集部は編集作業を続けながら常に「辞書をオールカラーにする意味」を考えていました。

オールカラーの良さは何か。なぜ、オールカラーにするのか。
ただ、カラフルな辞書が作りたいわけではない!

さまざまな色を使うことがもたらすたくさんの学習効果を、一人でも多くの小学生に感じてほしい。
そんな思いでこの難題に立ち向かったのです。

多くのスタッフが一丸となって、さまざまな困難を乗り越えて、美しいオールカラー印刷ができる方法
(※凸版印刷の企業秘密です)を編み出して、ようやくオールカラーの辞書が誕生したのです。


先が見えず心が折れそうになったとき、一人ひとりが思い描いていたことがあります。
それは、「オールカラーの辞書を見た小学生が喜ぶ姿」でした。

心の支え、希望があったからこそ、最後までやりとげることができました。

発売以来、小学生からの喜びの声、それを見た親御さんからの驚きの声が毎日毎日、続々と編集部に届いています。
また、複数の小学生に、オールカラーの第5版と2色刷の第4版とを引き比べてもらう調査もおこないました。
結果は、小学校1年生で、ことばを探し当てるスピードが40%もアップ!

子どもたちの声も、探しやすい、見やすい、本当に早く引けたなど、満足度100パーセントでした。


業界に革命を起こした辞書、『新レインボー小学国語辞典 改訂第5版(オールカラー)』は、この辞書づくりに関わった全ての人の思いがつまった希望の辞書です。