第一話「茫洋」
辞書編集部員の西岡は、街の本屋でとある営業マンのお粗末な仕事っぷりを目撃する。
それは、西岡も勤める玄武書房の社員である馬締(まじめ)という男だった。
一方、辞書一筋のベテラン編集者・荒木は、定年を前に後任者を探していた。
そんな荒木に何気なく馬締の話をする西岡。すると荒木は突然立ちがり、足早に営業部に向かった。
突然の訪問者に戸惑う馬締は、荒木からの『言葉』に関する質問に自分なりの答えを語る。
その瞬間、荒木は馬締のセンスを見抜き、辞書作りに向いていると確信する。
そして、その場で馬締をスカウトするのだった―――。